
灯りに辿り着くと、
見たこともない古びた小屋がありました。
【GOURD LAMPS】
小屋には看板があり、
軒先には、ひょうたんで作られたランプが吊り下げられていました。
「ひょうたんのランプ…なんて綺麗なんだ。」
彼は初めて見るひょうたんのランプに一目で魅了されてしまいました。
そして入り口の扉の隙間からは、彼を待ちわびているかのように温かい灯りがもれていました。

彼は導かれるままに小屋の中へ入っていきました。
そして、目の前の光景に思わず立ちすくんでしまいました。
部屋中が、キラキラと輝く灯りに囲まれていたのです。
「なんてことだ…ここはいったい…」
灯りの放つ美しさと優しさに、我を忘れ見とれていると
心が温まり、癒やされていくのを感じました。
それはまさに魔法の空間でした。
正気に戻り、目を凝らすと
ところ狭しとたくさんのランプが飾られていました。
「こんなに素晴らしい作品を誰が作っているのだろう…」
棚にあるもの、天井から吊り下げられているもの…
ひとつひとつの作品をじっくりと見てまわると
どれも素晴らしいものばかりで、すっかり魅了されてしまいました。
「ここはお店なのか…」
「すみません。どなたかいませんか。」
声をかけましたが、人影も返事もありません。
「一体どういうことなんだ...」

不思議に思いながら小屋を出ると、
辺りはすでに明るくなりはじめていました。
東の空には日が昇ろうとしています。
「そんなバカな。さっき小屋に入ったばかりなのに。」
振り返ってみると小屋は跡形もなく消えていました。
「夢でも見ていたのだろうか…」
ふたたび強い風が吹き始めました。
彼はふと我に返ると、静かに浜辺をあとにしました。

その日の夕暮れ時も彼は浜辺にやってきました。
朝からふたたび吹き始めた風は、お昼にかけて強くなり
夕暮れ時になってもやむことはありませんでした。
昨夜の小屋はどこにも見あたりません。
「やっぱり夢を見ていたのか…」
彼は、道具を広げるとすぐにランタンを作り始めました。
けれど、小屋での出来事が頭から離れません。
キラキラと輝く灯りたちが、何度も何度も蘇り
ランタン作りはまったくはかどりませんでした。
ため息をついて空を見上げると、一番星が輝いていました。

「もうそんな時間か…」
彼はランタン作りの手を止め、砂浜に寝転び目を閉じました。
風を感じ、波や砂浜のざわつきを感じました。
「いつも通りだ…」
しばらくの間、物思いにふけっていると
とつぜん空気が変わるのを感じました。
風はピタリとやみ、ざわついていた波も砂浜も静寂に包まれました。
「時が止まった。」
彼は期待を胸にすぐ目を開け、辺りを見回しました。
すると、淡く光るひとつの灯りをみつけました。
昨夜のランプ小屋でした。
