「さっそく作りたてのランプをお店に並べよう、もふちゃん。」


彼はほほえむと、出来たばかりのランプを持ち
入り口の部屋へと運びました。


「よし、ここに置こう。」

「お店に置く初めての作品だ。」


暗闇に包まれていた部屋は、あっという間にキラキラとした灯りに包まれ、ふたりは新しい一歩を踏み出したのでした。

彼は工房の部屋に戻るとまた床にころがり、

何かすごい事をやり遂げたような気がして、幸せに満ち溢れていました。


猫は彼のお腹の上に乗り、ひと休みしました。


「天井にも灯りがあったらいいな…」


ふたりはしばらくぼーっとしていました。

「コンコン…」

「こんばんは。どなたかいらっしゃいますか?」


突然の声に驚いて、ふたりは飛び起きました。

お店の方から声がしたのです。


ふたりはそっとお店の方を覗きました。

やはり誰かがいます。

そこにいたのは、ひとりの女の人でした。


とても穏やかな顔で、棚に置かれたランプを見つめています。


「こんばんは。あの…いらっしゃいませ。」


「あっ、こんばんは。とても素敵なランプですね。」


「あの…はいっ。ありがとうございます。」


「私、きっとこの灯りに呼ばれたんだわ…このランプ頂けますか。」


彼女はにっこり笑うと、ランプを買い静かに帰っていきました。

「こんな夜更けに人が来るなんて…」


彼がこの小屋に通い始めてから、人が来るなんて事は一度もありませんでした。


「不思議なことは続くもんだな。」


彼は猫にそう言うと、今日の仕事は終わりにすることにしました。

ランプを買った女の人はその後すぐに家に帰り、さっそく灯りをともしました。

部屋中がキラキラと温かい穏やかな灯りに包まれました。


彼女は、眺めているうちに心がふわっとほどけていくのを感じ、そのまま寝てしまいました。

実はこの日、彼女は心が落ち着かず眠れずにいたのです。


「風にでもあたろうかしら。」


そう思い、ひとり浜辺へやってくると暗闇の中にぼんやりと光る小屋を見つけたのです。

その小屋の窓からは、とても綺麗な温かい灯りがもれていました。


【GOURD LAMPS】という看板を見るとお店なのだとわかりました。

彼女は導かれるままにお店へと入っていったのでした。

朝になると、ランプに癒された彼女は
とても幸せな優しい気持ちで目を覚ましました。

心が穏やかになった彼女は、人にとても優しく接するようになりました。


彼女に優しくされた人は、また誰かに優しくし、

この優しさは瞬く間にどんどん広がっていきました。

その後も彼は、ランプを作り続けました。

次は天井から吊るせるランプでした。


「夕暮れをイメージして作るんだ。」


そう言って微笑むと、

使う人が癒やされるのを想像しながら丁寧に作り続けました。


もちろん、猫がずっと横で見守りました。
そして、作り終えるとまたすぐに売れていきました。


すると彼はまた、こう言いました。


「不思議な事は続くもんだな。」